2016年10月30日日曜日

定義,定理,公式

定義と定理という言葉はよく見ると思うが,その違いを認識していない中高生は案外多いと思われる.

定義というのはある種のルール,決まりごとのようなものである.例えば,「2で割り切れる整数を偶数と定義する」とすれば,これは決まり事であり,以降は偶数という言葉はこの決まりに従って読まなければならない.本や論文を読むときにはこの定義に気を付けなければならない.文章中にわけのわからない言葉や記号が出てくるならば,どこかでそれの意味を定義しているはずである(単純に知識不足ということも多々あるが).
よく使われる自然数という言葉も本や論文によっては少し意味が異なっている場合もある(簡単に言えば0を含むか含まないか).

一方で定理は,定義やすでに正しいことが立証されている法則を用いて証明される命題である.定義との決定的な違いは,証明可能か否かということである.
雑談として,well-definedという言葉もあって,定義事態が正しいかという議論もある.誤った定義のもとに(つまり,誤った舞台設定の下で)証明された命題はその真偽にも誤りが生じることがあるため,定義をする際は細心の注意が必要である.

また,公式という言葉も多々聞くと思うが,これは定理よりも数段格の落ちるもので,正しいことが知られている事実から容易に導き出せるものを指す.私は公式を「計算を短縮するためのもの」程度のもので認識している.よく聞くのが「2次方程式の解の公式」で,これも一般式から容易に導くことができる.



雑談として,5次以上の方程式には解の公式が存在しないということがアーベルールフィニの定理として知られている(つまり,これは定理である).

時々,数学は公式を組み合わせて解くもの,と言う先生もいるが...あまりにもそれは...